縄文の神聖幾何学

「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」「フトマニ」に秘められた神聖幾何学の叡智を探る。

アワ歌に秘められた意味とは

1. アワの歌

アカハナマ イキヒニミウ

フヌムエケ ヘネメオコホノ

モトロソヨ ヲテレセヱツル

スユンチリ シヰタラサヤワ

  知らない人は何の暗号かと思われるかもしれませんが、これは「アワウタ」と呼ばれ、いろは歌のように、ヲシテ48文字をすべて1度ずつ用いてつくられた五七調の歌です。

 

2. アワウタに秘められた意味とは

 アワウタというのは、民に日本語を教えるためにイサナギ・イサナミが作った手習い歌で、さらには心身を整える健康法でもありました。そして、イサナギ・イサナミの後、長女ワカヒメがアワウタ普及の役目を引き継ぎます。

 『ミカサフミ ワカウタのアヤ』の中で、ワカヒメはアワウタの意味を、「アカハナマは、父なる太陽が天高く昇って、樹々の若葉を照らす様子を表しています。イキヒニミウクは・・・」などと説明しています。

 ただし、それはあくまで民がアワウタを覚えやすいように喩えを使って説明しているだけで、アワウタ本来の意味ではありません。

 それでは、アワウタ本来の意味とは何でしょうか。それはアワウタの原文、つまりヲシテ文字で書かれたアワウタを見れば分かります。

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アワウタ

 ヲシテ文字の5つの母音はそれぞれ以下の意味を表します。

  • ア(ア行)=ウツホ(空)、気体
  • イ(イ行)=カセ(風)、冷たく降りる
  • ウ(ウ行)=ホ(火)、暖かく昇る
  • エ(エ行)=ミツ(水)、液体
  • オ(オ行)=ハニ(埴/土)、固体

 これらをふまえて、上のヲシテ文字で書かれたアワウタを見れば、

  • 空(くう)から気体が生じ、原子・分子の密度を増していき、液体へ、そして固体へと変わる流れ。
  • 反対に、密度が薄まり固体から液体へ、そして気体へ、やがて空へと還る流れ。

 が読み取れます。これがアワウタに秘められた意味です。

3. 「ネコヱの道」とは

  『ワカウタのアヤ』に次のような一節があります。

アハウツホ   (アは空)

ハカセウハホ (イは風 ウは火)

エノミツト   (エの水と)

オノハニヰツネ (オの埴 五つ根)※埴は土のこと

マシハリテ   (交わりて)

ヒトノイキスト (人の息栖と)

ナリテヨリ   (成りてより)

ヰツナナワケテ (五七分けて)

ヨソヤスチ        (四十八筋)

ツヰニネコヱノ (ついにネコヱの)

チアキテ   (道開きて)

  最後の4行に注目してください。これは、ヲシテ48文字から成る五七調のアワウタを念頭に置いて書かれています。

 その意味することは、前回のブログ記事「フトマニ図とクラドニ図形」で引用した『ワカウタのアヤ』の別の一節、「ネコヱ」の働きの末、ミソフ神の力が働き、ソムヨロヤチ(16万8千)の物質が生み出される、という一節と同じです。

 「五七分けて四十八筋」は、5×7×48=1680。その100倍がソムヨロヤチ(16万8千)。また、「ネコヱ」とは、フトマニ図の「アイフヘモヲスシ」であり、それは即ち、アワウタ48音のこと。

 つまり、アワウタの1音1音の響きによって、空から物質が生み出されるのです。そして、この道理が「ネコヱの道」です。

 

<余談1>

 前回のブログ記事「フトマニ図とクラドニ図形」をお読みいただいた方は、今回の記事と同じ趣旨であることに気づかれたと思います。

 そう、フトマニ図とアワウタは本質的には同じものです。フトマニ図を歌の形に変えたものがアワウタだと思っています。

<余談2>

 前回、クラドニ図形を紹介しました。砂が模様を描くのは、金属板には振動している部分と振動していない部分があって、砂は振動している部分によって弾き飛ばされ、振動していない部分に寄せ集められるためです。このように、音の振動波によって空間から形が生み出されます。

 振動している部分は「波」、振動していない部分は「凪」。一方、アワウタを作ったのはイサナギとイサナミ。果たしてイサナギ・イサナミと凪・波の関係はありやなしや。

<2022年5月14日追記>

  上の文中、「ただし、それはあくまで民がアワウタを覚えやすいように喩えを使って説明しているだけ」などと、ワカヒメさまに大変失礼な書き方をしていました。たんに私の理解が及んでいなかっただけで、そんな浅いものではなかったことに気がつきました。現時点で私の理解したことを書きましたので、以下の記事もお読みいただければ幸いです。

 

文責:与左衛門、協力:角大師

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