縄文の神聖幾何学

「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」「フトマニ」に秘められた神聖幾何学の叡智を探る。

アワ歌とシード・オブ・ライフ

1.アワ歌に秘められた8と6の謎

 『ミカサフミ ワカウタのアヤ』に次にような一節があります。

アワウタハ                    (アワ歌は)

ヤツノカタチニ             (八つの形に)

ムツノリノ                    (六つのりの)

ツネニサトシオ             (常に諭しを)

クリカヱシテヨ             (繰り返してよ)

  アワ歌は、いろは歌のように、ヲシテ48文字をすべて1度ずつ用いてつくられています。「ヤツノカタチ」と「ムツノリ」。8と6で48。この文章は、アワ歌(ヲシテ)がなぜ48音なのか、その手がかりとなりそうです。

 

 「ヤツノカタチ」とは何でしょうか? そして、「ムツノリ」とは何でしょうか?

 

2.池田満先生の解釈

 ヲシテ研究の第一人者、池田満先生は上の文章をつぎのように解釈されています。

 「ネ(音韻)」の48音の、つまり、アワウタの位置する所は、「ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ」の宇宙の中心からもたらされるナミ(成りゆく生じる)の下に、カタチが形成されて、「アミヤ・シナウ」の、アモトからのもたらしの及ぼしの「ア・ミ・ヤ」と、地表上での「シ・ナ・ウ」の為しゆき動かしてゆく動きの相互作用によって、世界が形成されます。これが「ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ」を意味する「ヤツのカタチ」に、「アミヤ・シナウ」の「ムツノリ」、つまりアモトからの地表上にての形成の流れです。この成り行きを常に啓(さと)すこと、「アワウタ」をよくよく唱えると良いということの持つ意味です。

  「ヤツのカタチ」は「ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ」を意味するとのことです。フトマニ図をよく見ると分かるのですが、「ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ」の順番に文字をたどると、八芒星の形になります。

 一方、「ムツノリ」が「ア・ミ・ヤ・シ・ナ・ウ」の6文字(6神)を意味するということですが、これは私の理解力が不足していて、よく分かりません。大筋の意味は分かるのですが、「ムツノリ」の「ノリ」がどういう意味なのか…。

f:id:niyatsuku2:20200628070203p:plain

 「ヤツノカタチ」とは何か、「ムツノリ」とは何かを考えているうちに、ある神聖幾何学の図形が頭に思い浮かびました。そこで、ドランヴァロ著『フラワー・オブ・ライフ第1巻』を引っ張り出して、改めて読み直してみました。

 

3.シード・オブ・ライフ

 ドランヴァロがいうには、古代エジプトの神秘学派の人たちは、この宇宙を創造するプロセスをもっとも深いレベルまで理解するために、以下のようなイメージングによって伝え学んだそうです。以下、本からの引用です。

 真っ暗で、どこまでも果てしなく続く、全方向に広がる無限の虚空を想像してみてください。そこには何もありません。何も存在しない無限の闇がただ広がるのみです。あなた自身をイメージしてみてください。あなたの肉体ではなく、あなたの意識がただ中にあると思い描いてください。何一つ存在しないところに、あなたはただ浮かんでいるのです。どこかへ落ちることもありません。どっちに向かって落ちていくべきかも分からないのですから。落ちているのか、昇っているのか、あるいは横に滑っているのか、それさえあなたにはわかりません。実際にこれでは何をしようと、動きを体験することは全然できません。

 (中略)虚空の中に宙ぶらりんなまま長い時を過ごした後、たぶんあなたは飽きるか好奇心がわくか孤独になるかして、自分の人生に新しい冒険を求めて何か新しいことを試したくなるでしょう。

  というわけで、神のスピリットが最初にしたことは、空間を作ることでした。虚無の中では運動は絶対に起こり得ません。何らかの動きが起きるためには、空間がなければならないからです。

 そこで、神のスピリットは虚空の中で、前後、左右、上下に意識のビームを発します。6方向に同じ距離だけ意識のビームを投射して、まず空間を定義するのです。

 つぎに6つのビームの先端をつなぎ合わせて、空間を閉じます。そうすると、2つのピラミッドを上下さかさまにしてくっつけた形、「正八面体(オクタヒドロン)」ができます。

 そして、正八面体が3つ重なっているとイメージして、前後・左右・上下の3つの軸に沿ってそれぞれ回転させると、球体が生まれます。

 このように形を生み出すことで、神のスピリットは動きを獲得しました。球の中心にいるスピリットは球の表面へと移動し、最初と同じ要領で、まず正八面体を創造し、それを回転させてもうひとつの球を創りました。

 これを繰り返し、最初の球のまわりに6つの球を創りだしたとき、幾何学的奇跡が起こり、6つの花弁を持った花を完成させます。これが「シート・オブ・ライフ(生命の種子)」と呼ばれる図形です。シード・オブ・ライフは宇宙の青写真(種)と言われています。

 ちなみにドランヴァロは、このシード・オブ・ライフが完成する過程は、聖書の「創世記」に書かれた創造の6日間と正確に符合すると言い、「ジェネシス(創世記)パターン」と呼んでいます。

 

4.アワ歌とシード・オブ・ライフ

 以上のことから、私と共同研究者である妻の見解を述べたいと思います。

  • スピリットが虚空の中でまず最初に生み出す正八面体、これが「ヤツノカタチ」です。
  • つぎに、正八面体を回転させてできた球体、これがアワ歌の最初の文字である「ア」のヲシテ文字の形です。
  • また、最初の球体のまわりを囲む6つの球体、シート・オブ・ライフが「ムツノリ」です。「ムツノリ」とは、6つの球の配列規則(パターン)を指しており、漢字で表すと「六つ則(のり)」というわけです。
  • そして、シート・オブ・ライフの6つの球の原型にあたるのが正八面体、8×6=48。これがアワ歌(ヲシテ)の48音に相当しています。
  • シート・オブ・ライフは別名「ジェネシス(創世記)パターン」と呼ばれます。旧約聖書の創世記1章1節には「初めに神は天地を創造された」とあります。アワ歌の「ア」は「天」を、「ワ」は地を意味し、前回のブログ記事でも書いたように、アワ歌もまた無から有の創造を示しています。
  • ちなみに、新約聖書ヨハネによる福音書」第1章には「はじめに言葉ありき」とありますが、これもまた、アワ歌1音1音の響きによって無から物質が生み出されることと類似しています。

 以上が私たちの現時点での見解です。100%確信に至っていませんので、今後新たな知見を得た際には再考し、真実に近づいていければと考えています。

 また、私の稚拙な文章のため、お伝えしたいことをうまく説明できていません。そのため動画を作成しましたので、ご覧いただけると幸いです。

www.youtube.com

 

<追記>

 私は、「ムツノリ」はシード・オブ・ライフのことを指しているのか、あるいは、もうひとつの考え方として、スピリットが虚空の中で前後・左右・上下の6方向に空間を定義することを指しているのではないかと考えていました。後者の場合の「ムツノリ」の「ノリ」は、道のりの「のり」と同じで距離を意味するのではないかと。漢字で表すと「矩(のり)」です。

 しかし、妻から「それだと、ムツノリのあとにヤツノカタチが来る。原文の順序と違うのでは」と指摘を受けました。なるほどその通りですが、それでは「ムツノリ」の「ノリ」は何か。私は法律の「法(のり)」だと思って何かしっくりこなかったのですが、妻が「ノリとはルールとかパターンのことでは」の一言に、「それだ! 規則やパターンの則(のり)だ」と得心しました。

 

 

文責:与左衛門、協力:角大師

ご意見・ご感想をコメントいただけると幸甚です。お待ちしております。