縄文の神聖幾何学

「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」「フトマニ」に秘められた神聖幾何学の叡智を探る。

宇宙の原初の音、ウヌの音(ネ)

 『ミカサフミ ワカウタのアヤ』につぎのような一節があります。

 ヒトノウイネモ             (人の初音も)

 アニアミテ                    (アにあみて)

 クチフサキフク             (口塞ぎ吹く)

 イキムレテ                    (息蒸れて)

 ハナニカヨヒノ             (鼻に通ひの)

 ウヌノネハ                    (ウヌの音は)

 モトアカノホル             (元アが昇る)

 オシテヨリ                    (ヲシテより)

 ミツニワカレテ             (三つに分かれて)

 キヨキウト                    (清きウと)

 カロクチリント             (軽く散りンと)

 ナカノヌト                    (中のヌと)

 (中略)

 アワトワカレテ             (アワ(天地)と分かれて)

 ソトハアニ                    (外はア(天)に)

 ナカハワトナル             (中はワ(地)となる)

 

 <意訳>

 人の原初の音というのも宇宙創世の状況と同じである。口を塞いで息を鼻に通わせて出す「ウヌ」の音(=ハミングの音)は、渦巻のかたちをした「ア」のヲシテ文字、すなわち宇宙を生み出す螺旋エネルギーが立ちのぼる原初、3つの音に分かれた。清い「ウ」と軽くて拡散する「ン」、そして中の「ヌ」である。(中略)そして、軽い「ン」の音は「ア(天)」に、中の「ヌ」の音は「ワ(地)」となった。

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掲載元:thrivemovement.com(ヲシテ文字は筆者の加筆)

 この宇宙の原初の音である「ウヌの音(ネ)」は、インドの聖なる音「オーム(om)」とおそらく同じものだと思います。

 ウヌやオームの音というのは、本当は表現しえない音、音になる前の音なのです。例えば楽器であれば、太鼓をバチで叩いたり、バイオリンの弦を弓でこすったり、ギターの弦を指で弾くことで音が鳴ります。つまり、モノとモノが触れることで空気が振動して音が生じるわけです。モノが存在する以前、空気が存在する以前、何にも触れなくても存在する音、それがウヌやオームの音です。

 以下は、ウィキペディアに掲載されている「オーム」の説明です。

  • オームは、バラモン教をはじめとするインドの諸宗教において神聖視される呪文。
  • バラモン教では、ヴェーダを誦読する前後、また祈りの文句の前に唱えられる。ウパニシャッドにおいては、この聖音は宇宙の根本原理であるブラフマンを象徴するものとされ、特に瞑想の手段として用いられた。また、この聖音 は「a」、「u」、「m」の3音に分解して神秘的に解釈される。
  • さらに後世のヒンドゥー教になると「a」は創造神ブラフマー、「u」は維持神ヴィシュヌ、「m」は破壊神シヴァを表し、全体として三神一体の真理を表すものとされ、民間においても浸透しており同教のシンボル的な意匠となっている。

  「オーム」と「ウヌ」では発音が似ていますし、以下のように3つの音に分かれる点も共通しています。

  • 「オーム」→「a」「u」「m」
  • 「ウ ヌ」→「ン」「ウ」「ヌ」

 さらに、以下のように3つの音が意味するものも似ています。

  • 「a」は創造神、「u」は維持神、「m」は破壊神
  • 「(ン=)ア」は始まりの音、「(ヌ=)ワ」は終わりの音、それ以外は中間の音

 また、聖音オームは「プラナヴァ」とも言うようで、「プラナヴァ」の「プラ」は「プラパンチャ」のことで、「プラパンチャ」は空、風、火、水、地の五大元素を表すらしいのです。この点もヲシテ文字のウツホ、カセ、ホ、ミツ、ハニの五大元素との共通性が見られます。

 

<2022.9.18追記>

 改めてヲシテ文献を読み直してみて、ウヌの音とインドの聖音オームは、おそらくどころか、完全に一致していると確信しました。以下の記事をご参照ください。

 

文責:与左衛門、協力:角大師

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