1.呼吸の数と波の数は同じ
前回の記事では『ミカサフミ タカマナルアヤ』より、星々は宇宙の創造神アメミヲヤの吹く息から生まれた、という一節をご紹介しました。その後、文章はつぎのように続き、アメミヲヤの息の話から人の息の話へと移ります。
ヒゝキテメクル (響きて巡る)
イキノカズ (息の数)
ヨロミチムヤソ (万三千六八十)
イトノイキ (糸の息)
サゝナミモコレ (さざ波もこれ)
人の息の数は1日13,680回、と書かれています。この数は、じつは宇宙の創造神アメミヲヤの息の数と響き合っているのです。
1日=24時間=1,440分ですので、1分間の呼吸数は13,680回÷1,440分=9.5回となります。現代人の呼吸数は、一般的な成人で毎分12回~18回くらいとされていますので、それに比べるとだいぶゆったりとした、細く長い「糸の息」ですね。これは、かなりリラックスしているときの呼吸数だと言えるでしょう。
そして、さざ波の数も人の息の数と同じである、と書かれています。本当にそうかと思って、沖縄やハワイの波打ち際の動画を見ながらストップウォッチで計ってみると、確かに毎分9~10回くらいです。
この文章から、縄文人は生命の源である海と同じリズムで呼吸し、ゆったりと生きていた様子がうかがえます。
2.縄文時代の長さの単位
さらに文章は続き、今度は長さの単位の話へと移ります。
トメヂトハ (トメヂとは)
メノミソムフム (女の三十六踏む)
セハトイキ (畝は十息)
モゝイキハマチ (百息は町)
ミソムサト (三十六里)
サトミソヤナリ (里三十八なり)
表にすると以下のようになります。「息の数」を基準にして長さの単位を定めていることが分かるでしょうか?
ちなみに、1トメヂ=38サト×36マチ×100息=136,800息 です。これは人の1日の呼吸数13,680回の10倍に当たります。地球や月や太陽など天体レベルの大きさや距離を表す単位である「トメヂ」もまた、人の呼吸数と結び付いていることが分かります。
縄文人は、人は大自然・大宇宙の一部であることを認識し、大自然・大宇宙と調和して暮らすことの大切さをよく知っていたのでしょう。
ちなみに、上記の長さの単位が後世の「尺貫法」につながっていったと思われますが、どうやら縄文の叡智は置き去りにされてしまったようです。
冒頭の文章をもう一度掲載します。
ヒゝキテメクル (響きて巡る)
イキノカズ (息の数)
人の息の数もさざ波の数も、宇宙の創造神アメミヲヤの息の数と響き合っている。この一文に込められた縄文人の深い叡智には、本当に驚嘆させられます。
<追記1>
話は横道にそれますが、アワ歌の作者であるイサナギとイサナミは、どんなふうにアワ歌を歌っていたのだろうか、とつねづね考えているのですが、ハワイのフラのように、さざ波のリズムで歌っていたのかもしれませんね。ウクレレならぬカダガキ(三弦琴、琴の原型)を弾きながら。
<追記2>
上記のように、人の呼吸の数と海の呼吸ともいうべき波の数は連動しています。また、人の呼吸と脳波は密接に関係しています。ということは、人の脳波は地球と連動しているはずです。
地球の脳波ともいうべき「シューマン共振」というものがあって、それが人間の脳波と関係しているのではないか、という説があります。シューマン共振は7.83 Hz。これは人がリラックスしているときの脳波であるアルファ波にあたります。
リラックスしている状態は、地球のリズムと調和している状態と言えます。
【人間の脳波】
- デルタ波(~4 Hz):深い睡眠、あるいは昏睡状態の時の脳の状態
- シータ波(4〜7 Hz):入眠時や無意識の時の脳の状態
- アルファ波(7〜14 Hz): リラックスした状態の脳の状態
- ベータ波(14〜30 Hz): 通常の覚醒状態。数値が高くなるほど興奮状態
- ガンマ波(30 Hz~): 興奮状態の脳の状態
ちなみに、シューマン共振の7.83 Hzは常に一定で変わることがないと考えられていましたが、最近、ロシアの観測所が「8.5 Hz」になっていることを発見したそうです。地球が覚醒しようとしているのかもしれませんね。ご興味のある方は以下の記事をご覧ください。
文責:与左衛門、協力:角大師
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