縄文の神聖幾何学

「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」「フトマニ」に秘められた神聖幾何学の叡智を探る。

ヲシテ文献とフトマニ図から読み解く「火焔型土器」に秘められた意味

1. 火焔型土器

 前々回の「アウワのかたちの縄文遺物」の記事の中で、「三角とう形土製品」とは、「縄文時代中期から後期の北陸地方を中心に出土する土製品で、その用途は不明ですが、祭祀に使われた宗教的な道具ではないかと考えられているようです。また、火焔型土器と共に出土することが特徴とのことです。」と書きました。

 この「火焔型土器と共に出土する」という点が気になって、火焔型土器のことを調べてみました。火焔型土器の特徴はつぎのようなものです。

  • 上部に4つの大きな把手(突起)がある。鶏のトサカに似ていることから、一般には「鶏頭冠突起」と呼ばれる。また、口縁にはノコギリの歯のようなギザギザがある。これらの装飾が何を表したものかは不明だが、全体の形状が燃え上がる炎を思わせることから「火焔型」土器と呼ばれている。
  • 縄で文様をつける「縄文」はなく、胴体の表面は粘土のひもを貼り付けたような隆線や隆帯と渦巻き文で埋め尽くされている。
  • 信濃川流域の新潟県、長野県北部、および阿賀野川流域の福島県西部の出土数が多い。
  • 約5300年前の縄文中期、約500年の間だけ作られた。
  • 火焔型土器に系統的に先行する様式は不明瞭といわれる。この様式が突然創造された。
  • オコゲがついているものも出土することから、煮炊きに使われたと考えられる。しかし、その形状から見て、何らかの祭祀的な目的に使われることがあったとする考えもある。

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掲載元:「日本遺産 火焔型土器」HP

 

2. 火焔ではなく水煙?

 火焔型土器のことを調べているうちに、これは火焔ではなく、氾濫する信濃川の水紋を表しているのではないかという説や、滝の水煙を表しているのではないかとする説などを見かけて、目からウロコが落ちました。

 今まで「火焔型土器」という呼び名を鵜呑みにして、何の疑いもなく、これは火焔だと思い込んでいましたが、火焔のように見えるからそう呼ばれているに過ぎず、実のところ、何を表したものなのかよく分かっていないのです。

 なるほど、そう言われれば水紋や水煙にも見えるなと感心した瞬間、ふと閃きました。もしかして火焔型土器は5つの元素を表しているのではないかと。


3. 火焔型土器が表すもの

 縄文時代のヲシテ文字で書かれた『ミカサフミ ワカウタノアヤ』に以下のような一節があります。

アハウツホ   (アは空)
ハカセウハホ (イは風 ウは火)
エノミツト   (エの水と)
オノハニヰツネ (オの埴 五つ根)※埴は土のこと
マシハリテ   (交わりて)
ヒトノイキスト (人の息栖と)
ナリテヨリ   (成りてより)

 人は空・風・火・水・土の5つの元素から成っています。いや、人だけでなく宇宙の星々や私たちの地球、また、地球上の生きとし生けるものすべてがそうです。

 「元素」という言葉を使うと、どうしても物質的な印象を与えますが、おそらく縄文人は物質次元の空・風・火・水・土だけでなく、目には見えない非物質次元、空・風・火・水・土の神や精霊といった存在を感知していたように思います。

 そして、火焔型土器は以下のように、この聖なる5元素を表しているのではないでしょうか。

  • 実際に煮炊きする際、沸騰した水が蒸気となって空中に溶け込む、その空中そのものが「ウツホ(空)」を表す。また、土器の内部空間も「ウツホ」を表している。
  • 4つの大きな把手は、風によって巻き上がる炎であり、「カセ(風)」を表す。
  • 口縁のギザギザとそのすぐ下の渦巻は、燃え盛る「ホ(火)」を表す。また、実際に煮炊きする際の焚火の炎自体、「ホ」そのものである。
  • 胴体の渦巻と縦の隆線は、勢いよく流れる「ミツ(水)」を表す。また、実際に煮炊きする際、土器の中に入れた水自体、「ミツ」そのものである。
  • 土器の材質がそのまま「ハニ(埴=土)」を表す。また、土器を置く地面も「ハニ」を表している。

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  また、『ミカサフミ』では、空から風が生じ、風から火が生じ、火から水が生じ、水から土が生じるとされています。そして、上図のように火焔型土器も同じく、上から順番に、空(空中)→風→火→水→土(地面)、と並んでいます。

 この順番は、軽いものほど上に、重いものほど下になっています。厳密に言えば、分子の密度が薄いものほど上に、濃いものほど下に、つまり、気体→液体→固体の順番ですね。

 ちなみに、これはヲシテ文字の母音でいうと、ア→イ→ウ→エ→オの順番でもあります。

 

4.火焔型土器と三角とう土製品

 冒頭、火焔型土器と三角とう形土製品は共に出土すると書きました。これは何を意味するのでしょうか? 縄文人は火焔型土器と三角とう形土製品をどのように使っていたのでしょうか?

 以下は、私と協力者の角大師さんがフトマニ図を参考に考えた仮説、というより想像です。

  • 縄文人は、空・風・火・水・土の神や精霊に対して、大自然の恵みを授かれるように祈り、あるいは、恵みを授かったことへの感謝をささげるための儀式を行っていた。
  • 儀式では、空・風・火・水・土を象徴する土器を使って、実際に煮炊きをし、それによって空・風・火・水・土の神や精霊を召喚した。
  • その際、三角とう形土製品は宇宙の根源神の象徴として土器の中に入れ、底部の中央に置いて煮炊きした。

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文責:与左衛門、協力:角大師

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