縄文の神聖幾何学

「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」「フトマニ」に秘められた神聖幾何学の叡智を探る。

ヲシテ文献から読み解く「生命の樹」の本当のかたち(その2)

1.ワカウタのアヤ 

 前回の続きです。縄文時代のヲシテ文字で書かれた『ミカサフミ ワカウタのアヤ』につぎのような一節があります。

タマキノツクル オシヱクサ
アマカミマネク ミハシラキ

 「タマキ」とは、トヨケ(豊受大神)の諱(いみな、本名のこと)です。タマキネともいいます。「オシヱクサ」は、教えの品々という意味です。そして、タマキの作った教えの品々とは、フトマニ図のことを指しています。

  また、「アマカミ」は古代の天皇の称号で、「ミハシラキ」は御柱木です。そして、アマカミ招く御柱木とは、アマカミの神霊を降ろす柱という意味です。古来、神さまは柱に宿ると考えられており、私たちが今、神さまの数を1柱、2柱と数えるのもそのためです。

 

2.「キ」のヲシテ文字

 私は以前、ヲシテ文字のアイウエオの5つの母音はそれぞれ5つのプラトン立体を象ったものではないか(「ヲシテとプラトン立体」参照)、そして、ヲシテ48文字を配したフトマニは、5つのプラトン立体をすべて含むメタトロンキューブと同じものではないか(「フトマニ図とメタトロンキューブ」参照)、と書きました。

 また以前、『ワカウタのアヤ』に記された「アワ歌は 八つの形に 六つのりの」の一節はシード・オブ・ライフを指しているのではないか、ということも書きました(「アワ歌とシード・オブ・ライフ」参照)。

 要するに、私はヲシテ文献には神聖幾何学のことが書かれているのではないかと考えており、こうした視点で上の一節を読んだときに、ミハシラキとは「生命の樹」(ツリー・オブ・ライフ)のことではないか、という考えが浮かびました。

 そこで、文献の中にミハシラキと「生命の樹」の関連を明確に示すようなことが書かれていないかと、目を皿のようにして何度も何度も文献を読み直しました。

 そして、気がつきました。ミハシラキの「キ」のヲシテ文字が鍵であると。

 「キ(ki)」のヲシテ文字は下図の左のような形をしています。これは母音「i」である「カセ」(風)のヲシテ文字と子音「k」の縦棒に分解できます。

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 この「カセ」(風)のヲシテ文字は、プラントン立体では正八面体にあたります。

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 「あっ、これはもしかして!」とひらめくものがあり、「生命の樹」の図を取り出してよく見てみると、予感的中、図の中に正八面体が埋め込まれていることに気がつきました。

 「生命の樹」は平面ではなく、じつは立体だったのです。そう考えると、「生命の樹」にもうひとつの立体、正四面体が埋め込まれていることにもすぐに気がつきました。

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 では、子音「k」の縦棒は何なのか。私が思うには、これは縦棒の書き方が示すように、上から下へ降りる流れを表しています。ちなみに、△(三角)の形をした「ホ」(火)のヲシテ文字は、温かく昇る流れを表しますので、それを▽(逆三角)にすると下へ降りる流れとなります。

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 そこで、縦棒を同じ意味合いの▽に置き換えると、下図のようになります。

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 つまり、「キ」のヲシテ文字の形は、「生命の樹」がプラトン立体を組み合わせた形をしていることを指し示しているのではないか、ということです。そして、試行錯誤の後、最終的に行きついた形が前回のブログに掲載したものです。

 ちなみに「キ」のヲシテ文字の形は、漢字の「木」の字にも似ているのが面白いですね。

 

3.三柱鳥居

 ところで以前、協力者の角大師さんといっしょに、京都の太秦にある「木嶋坐天照御魂神社」(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)を訪ねたことがあります。養蚕を日本に伝えた秦氏ゆかりの神社であることから、通称「蚕ノ社」(かいこのやしろ)と呼ばれています。そこは珍しい「三柱鳥居」があることで有名です。

 日ユ同祖論を支持する方であれば、「太秦」「秦氏」とくれば、「三柱鳥居」とはすなわちカバラの「生命の樹」であると言うでしょう。私もそう思います。

 下の画像で、左のほうが蚕ノ社の三柱鳥居で、右のほうがゾムツールで作った「生命の樹」の立体模型です(正六面体を除いた簡易版)。『ワカウタのアヤ』のミハシラキは「御柱木」でもあり、また「三柱木」でもあるのかもしれません。

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写真左:蚕ノ社の三柱鳥居(Wikipediaから掲載)

 上の画像で、模型の黄色の三本柱の上の正八面体が、カバラのシンボルである六芒星に見えることにお気づきでしょうか。

 ちなみに、自分の身体が小さくなったと想像して、模型の三柱の中央に立ってみてください。そして、真上を見上げてください。その位置からも六芒星が見えることが分かるでしょうか?

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 ちなみに、蚕ノ社の三柱鳥居の真ん中に立っている「御幣」、おそらくこれも「生命の樹」を表したものだと思います。

 

 

文責:与左衛門、協力:角大師

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