縄文の神聖幾何学

「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」「フトマニ」に秘められた神聖幾何学の叡智を探る。

トホカミヱヒタメの秘密(2)

前回の続きです。

1.   天地融合とトノヲシテ

 神聖幾何学やマカバの第一人者ドランヴァロ・メルキゼデクは著書『フラワー・オブ・ライフ』の中で、17回の呼吸でマカバを活性化する方法を教えています。しかし、それは複雑な手順を必要とする、いわば脳から生み出す合成マカバであり、現在ではその方法を一切教えておらず、代わりにもっとシンプルな、ハートの中から生きたマカバを活性化させる方法を教えています。

 自分の意識がハートの中に入るにあたって、その前に必ずやらなければならないことがあります。それは、まず母なる地球と、その次に父なる天や太陽とつながることです。世界中の先住民族の人たちが、地球や天とつながることなしにハートに入ろうとするなんてあり得ない、と言っています。

 この天地融合の教え、じつは日本の先住民である縄文人たちも「トノヲシテ」あるいは「トの教え」と呼び、クニの理念として掲げるほど尊んだことがホツマツタヱに記されています。

 また、もしかすると「アワ歌」も母なる地球や父なる天や太陽とつながるために歌われたのかもしれません。アワ歌の「ア」は「天」、「ワ」は「地」のことで、つまり、アワ歌とは天地融合の歌ですので。もっとも、ホツマツタヱにそう書かれているわけではなく、あくまで私の想像ですが。

 

2.   ハートの聖なる空間とアウワ

 母なる地球や父なる天や太陽とつながることで、ハートの中にある聖なる空間にアクセスできるようになります。そこは心臓の秘密の小部屋とも呼ばれ、「今ここ」であらゆることが可能となる、時間のない意識の次元であり、そのことは世界中の古い文献や伝承にも語られています。そして、その聖なる空間の中に、小規模ながらきわめて特殊なもうひとつの空間があります。

 心臓について専門に研究を行っているハートマス研究所によると、心臓の周囲には大小2つのトーラス型の磁気フィールドが確認されています。そのことと、ハートの聖なる空間、さらにその中の小さな空間とが関連しているようです。

 じつは、この構造はフトマニ図も同じです。大きいほうのトーラスは「アイフヘモヲスシ」、小さいほうのトーラスは「トホカミヱヒタメ」に相当します。

 そして、ハートの聖なる空間、さらにその中の小さな空間は、フトマニ図の中心「アウワ」の「ウ」の字の形に表されています。(アウワの詳細は「アウワとトーラス」をご覧ください。)

 

3.   マカバとフトマニ

 ドランヴァロによると、マカバは3つの同じ大きさの二重正四面体が重なっていて、それが活性化した瞬間、ひとつは身体にぴたっと固定されて動かないのですが、もうひとつは左回りに、あとのひとつは右回りに、光に近いスピードで回転します。

 また、左右の回転速度は同じではなく、右回りに21回転する間に左回りに34回転。この「21:34」の回転比率は、「1,1,2,3,5,8,13,21,34・・・」と続く、大自然の秘められた法則「フィボナッチ数列」の関係になっています。

 そして、この構造はフトマニ図も同じです。中心のアウワの「ア」は左回りの渦、「ワ」は右回りの渦の形をしています。それに倣って、トホカミヱヒタメを円周に沿って左回りに、あるいは右回りに一文字ずつト→ホ→カ→ミ→ヱ→ヒ→タ→メの順番に指さしていくと、左回りのときは3つずつ、右回りのときは5つずつ進むのが分かるかと思います。また、アイフヘモヲスシの場合は反対に、左回りに5つずつ、右回りに3つずつ進みます。

 この「3:5」の回転比率もフィボナッチ数列の関係(1,1,2,3,5,8,13,21,34・・・)になっています。(フィボナッチ数列については動画「Nature by Numbers」をご参考ください。)

 

4.    アセンションとレインボー・ボディ

 さて、マカバにはいくつもの機能がありますが、そのうちのひとつに「次元間移動のための乗り物」としての機能があります。ドランヴァロは、マカバが活性化していないとアセンション(次元上昇)できないと、きっぱり言い切っています。

 ハートの聖なる空間の中の、さらに小さな空間に入って、そこに意識をとどめておくことができるようになると、そこから生きたマカバが活性化するとのことですが、じつはドランヴァロの教えには、その先があります。それは「最後の90度ターン」と呼ばれる瞑想法で、簡単に言うと、この3次元の地球から身体ごと消えて、4次元の地球へと移動していく方法とのことです。

 ドランヴァロの書いた本はどれも、にわかには信じがたい驚くべき内容のオンパレードなのですが、それでも私はそれが真実であると思っています。しかし、この世から身体ごと消えてアセンションするなんて、そればかりはさすがに信じがたい・・・。

 と、思っていたのですが、あるとき、ふと共同研究者の角大師さんがインターネットの「お気に入り」に保存していたある記事のタイトルが目に留まり、何気なくその記事を開いて読んでみて、ビックリしてしまいました。

 なんとチベットでは、完全な悟りを成就した僧侶が死を迎えたとき、身体が虹色の光となって消えてしまったり、あるいは小さく縮んでしまうことがあるそうです。それは「レインボー・ボディ」(虹の身体)と呼ばれ、実際、その様子が多くの人に目撃されているとのことです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

チベットのレインボー・ボディについて Part 2

5.   古代ボン教の五大元素の教え

 上記の記事を読んだ直後、たまたまある方が『チベッタン・ヒーリング~古代ボン教・五大元素の教え~』という本のことを教えてくれました。ヲシテ文献の五大元素と同じ教えがチベットでは今も根付いているというので、興味を惹かれて購入してみたのですが、そこに書かれていたのは、なんと偶然にもレインボー・ボディーのことでした。

 ボン教というのは、チベットに仏教が伝わる以前から信仰されてきた土着の宗教です。ボン教には「九つの道」の教えがあって、その最上に位置づけられるのが「大いなる完成」を意味するゾクチェンの教えです。そして、ゾクチェンの修行の末、完全な悟りを成就した者はレインボー・ボディーとなります。以下は同書からの引用です。

 この古くからの教えは、聖俗を問わず広く修行されており、現代においてさえも「虹の身体」を成就したボン教の師が複数存在した。「虹の身体」は、ゾクチェンの伝統において完全な悟りを成就した最高のしるしで、死に際して、成就者は身体を構成する五つの粗い元素を溶かしきってしまう。つまり、五大元素の本質である純粋な光の元素のなかへ粗い五大元素を溶け込ませるのだ。このプロセスにおいて、実体としての身体は虹の色の光となって消えていく。それゆえ、この現象は「虹の身体」と呼ばれている。死体は消えてしまうが、髪の毛と爪だけが見つかる場合もある。いずれにしろ、「虹の身体」の現象は、修行者が最高レベルの悟りを成就し、もはや事象と心、あるいは生と死といった二元的世界に縛られていないことを示すものだ。

 ちなみに、ゾクチェンの教えの中に「六つの燈明」という経典があり、その中の第二の燈明は「肉の心臓の燈明」と呼ばれています。これはおそらくドランヴァロのいう、ハートの聖なる空間と同じと思われます。

 ゾクチェンの教えのことは、数冊の本で学んだだけで詳しいことは知らないのですが、おそらく核となるのは、ドランヴァロの教えと同じく、スピリットを脳から心臓に移し、ハートの聖なる空間にできるだけ長くとどまること、そして、そこから生きたマカバを活性化することだと思います。

6.   トホカミヱヒタメの文字の向き

 フトマニ図は4つの構造から成り、それぞれの象徴するものは下表のとおりです。


 フトマニ図をよく見ると、アイフヘモヲスシの8文字(下図のピンク色の部分)とその周囲の32文字は円の外側を向いていますが、トホカミヱヒタメの8文字(下図の水色の部分)は円の中心を向いているのが分かります。

 

 

 私の考えでは、前回の記事で書いたハトホルのマントラとの類似性といい、やはりトホカミヱヒタメはハートの聖なる空間に入り、宇宙の根源に還るためのマントラです。

 そして、それを極めることができれば、レインボー・ボディーとなってアセンションするのかもしれません。

 

<追記>

 ホツマツタヱに登場する神々は普通「クニトコタチ」「アマテル」「ツキヨミ」「ソサノヲ」等の名を持ちますが、なぜ、クニトコタチの8人の皇子だけは「ト」や「ホ」など一文字の名前なのだろうか、とつねづね疑問に思っていました。それについて、今回ふと思ったことがあります。

 「クニトコタチ」「アマテル」「ツキヨミ」「ソサノヲ」等の名前からは、何となくその意味が想起できます。しかし、「ト」や「ホ」は意味が想起しにくい。それこそが重要な点ではないかと。

 つまり、思考を止めてハートの聖なる空間に入るためのマントラは、思考が働かないような、意味を持たない音のほうがよいのです。それが「ト、ホ、カ、ミ、ヱ、ヒ、タ、メ」ではないかと。

<追記2024.2.15>

 ホツマツタヱに「アイウエオ ウツホ、カゼ、ホと ミヅ、ハニの 交わりなれる ミナカヌシ」という一節があります。ミナカヌシとはレインボー・ボディーのことかも。

<参考文献>

・ハートの中から生きたマカバを活性化する方法については、ドランヴァロさんの『ハートの聖なる空間へ』、横河サラさんの『ダイヴ! into アセンション』 を参考にさせていただきました。横河サラさんはドランヴァロさんが主宰するスクール・オブ・リメンバリングの公認ティーチャーで、その方法を教え広める活動をされています。→ 横河サラ.com

・ゾクチェンの教えについては、上記で紹介したテンジン・ワンギェル・リンポチェ著『チベッタン・ヒーリング~古代ボン教・五大元素の教え~』を参考にさせていただきました。また、箱寺孝彦さんの翻訳された『虹の身体の成就者たち』は、かつての虹の身体の成就者たち一人ひとりの最期に残した教えの真髄が掲載されており、その方々の肉声が直に伝わるような素晴らしい本で、お勧めです。

 

文責:与左衛門、共同研究者:角大師

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