1. 宇宙の原初の音
以前、『ヲシテ文献から判明した古代における聖音オームの唱え方とは』の記事で、『ミカサフミ ワカウタノアヤ』に記された宇宙原初の音「アウヌ」とインドの聖音「AUM」は同じものであると書きました。
アヤに書かれたアウヌの唱え方はつぎのとおりです。
- 「ア」は宇宙の原初の音で、赤ん坊の産声のように(意味や思考・感情などを伴わない)純真無垢な音。
- 「ウ」も「ア」と同じく、どこまでも清らかな音。
- 「ウヌ」は口を塞いで息を鼻に通わせて出す音。つまり、「ヌ」は文字どおり発音するのではなく、むしろ軽やかなハミング音。
- ハミング音の後、軽やかに散って無音となる。無音を心の中で唱える。
私は毎朝、このやり方でアウヌを繰り返し唱えながら瞑想しているのですが、最近びっくりするようなことがありました。なんと、伯家神道に伝わる行法に同じものがあったのです!
2. 息吹ア伝
以前、『神籬奉斎行事 天津微手振 天津息吹』(八幡書店)という和綴じの本を買いました。最近読み直してみたところ、その中に『息吹ア伝』という行法が載っていることに気がつきました。
息吹ア伝。霊体一柱。
無作為。天地一枚。霊体一如。神我交霊交感への息吹。雄叫びとすれば神我一体。絶対的絶対の声。足心より地球のイキを吸ひあげて、口より大空に息吹く救世済民の氣合。
鼻から天地の大氣を吸ひ、之を振魂して、其の吸ひこんだ大気の裏に胎蔵せる天之御中主神の霊氣、則ちイを其の宮居及び霊源(臍下丹田)に注ぎこむと同時に、我の心身の罪、咎、穢、病、即ちキを胸肺にてイの働きによりて絞り出し、之をこの処にて、イによる浄化作用の過程を経て、イキとなして外界に息吹く。
『ア、イ、ウ、エ、オ』の母音の中で、その発動面にある『ア、ウ、オ』の三音を『ア』の一音に還元し、『ム』に帰納せしむる。この『ア』は咽喉、歯、唇に何等の作為を施さない、自然の儘に出る『ア』の息であって、之を発音すれば『ア、、、嬉しい』のアであり、詞としては『あかるし(明)』『あか(赤)』『あま(天)』のアである。結局余韻がムに帰納することによって、霊体一如の境地に電入し、交霊、交感、神我一如の妙諦を得るのであるが、それは帰一帰納せしむるのではない。無作為の中に自然に帰一帰納するのである。
この行法は『ワカウタノアヤ』に記されたアウヌの唱え方と同一といって差し支えないと思います。
3. 伯家神道
伯家神道は、花山天皇の子孫で神祇伯を世襲した白川家によって受け継がれた神道で、天皇家が代々行ってきた皇室祭祀を司どってきました。ひとことで言うと、天皇家のための神道が伯家神道です。
よって、『息吹ア伝』のような伯家神道の行法は本来、一般民衆には知りえない秘伝なのです。それが一体どうしたわけで、今やネットで簡単に購入できるのか。八幡書店の社主がその偶然が幾重にも積み重なった奇跡的な経緯を以下の動画で語っておられます。
4. ワカウタノアヤの発見
『ミカサフミ ワカウタノアヤ』、このアヤもまた奇跡のように現代に甦りました。
2012年11月、SUMIKO!さん、アマノコトネさん、宮崎貞行さんという3人の方が、富士山麓の河口湖の畔、河口浅間神社の前にある御師の家を通りがかったとき、霊能者のアマノコトネさんが「ここが何だかおもしろそうよ」と言ったことがきっかけとなって、御師の家の屋根裏部屋から偶然に見つかったのだそうです。その経緯について、『ワカヒメさまの「超」復活!』という本に詳しく書かれています。
この御師の家主、本庄家は河口浅間神社の神職として約千年ほども続いた家です。後桜町天皇の御衣や御扇を保存されていたり、神祇伯の白川家とのつながりも古くからあるそうです。
『ミカサフミ』は『ホツマツタヱ』と同じく、ヲシテという縄文時代の文字で書かれた書物で、12代景行天皇に上程されたものです。
その写本およびそこに記された霊的呼吸法が、皇室祭祀を司どる白川家において今日まで保存され、伝承されてきたことに思いを馳せると、これは実に々々、途方もなく凄いことだと思いませんか。
(おそらく伯家神道のほとんどの方も『息吹ア伝』の起源がヲシテ文献『ミカサフミ ワカウタノアヤ』にあることをご存じないのではないでしょうか。)
ちなみに現在、御師の家で宿泊もできるようになっており、私たちも以前にお世話になったことがあります。ご興味のある方はHP(御師の家 梅谷)をご覧ください。
文責:与左衛門、共同研究者:角大師
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