縄文の神聖幾何学

「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」「フトマニ」に秘められた神聖幾何学の叡智を探る。

もうひとつの「生命の樹」(その1)

1. 蜂の巣

  なぜ蜂の巣は六角形なのでしょうか? それについて、たいへん面白い実験をしている動画がありますので、まずはそれをご覧ください。


 なぜ蜂の巣は六角形なのか。その鍵は120度という角度にあります。限られた材料でできるだけ多くの部屋を作るのに最も効率の良い方法は、部屋の壁を120度の角度にすることです。その結果として出来上がる部屋のかたちが正六角形なのです。

 

2. マラルディの角度

 さて、蜂の巣は六角形だと言いましたが、正確には六角柱のかたちをしています。その六角柱の部屋の底はどんなかたちをしていると思いますか? それは平面的な六角形ではなく、下図のような菱形3枚からなる立体的な構造をしています。

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 18世紀の天文学者マラルディは、その菱形の内角のうち大きい方(鈍角)の角度が約109.28度であると算出しました。

 平面において最も省エネな角度は120度ですが、立体においては約109.28度なのです。

 後にこの角度は自然界のさまざまなものに表れる重要な角度だということが分かり、そのため「マラルディの角度」と呼ばれています。

 

3. 菱形十二面体

 ところで、以前「ヲシテ文献から読み解く「生命の樹」の本当のかたち(その1)」の記事で、「生命の樹」とは、正四面体と正六面体と正八面体の3つのプラトン立体からなる複合神聖幾何学だと書きました。

 この3つの立体を中心点が重なるようにして組み合わせると左下図のようになります。そして、その全ての頂点を結ぶと、右下図のような立体が姿を現します(黄色い棒の部分)。この立体を菱形十二面体といいます。

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 この菱形十二面体は、じつは蜂の巣の底面のかたちである菱形3枚を4つ組み合わせてできるかたちです(菱形3枚×4=菱形12面体)。

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 ひとくちに菱形といっても、2本の対角線の長さの違いによって、正方形に近いものから錐のように鋭く細長いものまで、さまざまな菱形があります。菱形十二面体における菱形は、2本の対角線の長さの比率がいわゆる「白銀比」になっている特殊な菱形です。

 白銀比フラクタル構造と深く関係する重要な比率であり、別名「大和比」とも呼ばれるように、日本では馴染みの深い比率なのですが、ここでは省略を説明します。というのは、立体構造においては長さの比率よりむしろ角度が重要となるためです。

 

4. もうひとつの「生命の樹

 その角度とは、前述の「マラルディの角度」のことです。
 空間上の1点から放射状に「マラルディの角度」で線を伸ばすと、左下図のようになります。そして、それらの線の先から同じように線を伸ばすと、右下図のようになります。

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 これはカバラの「生命の樹」から生まれた、もうひとつの「生命の樹」です。カバラの「生命の樹」より、よほど樹木らしいかたちをしています。私はこれが真の「生命の樹」のかたちではないかと考えています。なぜならば、それを繰り返すことで「生命の花」(フラワー・オブ・ライフ)が咲くような形になるからです。(次回に続く)

 

<追記1>

 菱形十二面体のことを調べると、菱形の鈍角は約109.47度とあります。一方、マラルディの角度は約109.28度。わずかな差があります。私には両者の菱形はまったく同じに思えるのですが、なぜ差があるのかが分かりません。どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら、教えていただけるとありがたいです。

<追記2>
 上記のようなことを考えていた矢先、ダーウィンの有名な「生命の樹」のスケッチが書き留められたノートが行方不明になった、とのニュースを目にしました。そのスケッチが、なんと私の考える真の「生命の樹」のかたちにそっくり! このタイミングでこのニュースを目にするとは、何とも不思議なものです。

 

文責:与左衛門、協力:角大師

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